長年経理の仕事をしてきている方々には慣れ親しんできた約束手形ですが、ここにきて取引先から手形支払いに替えて電子債権の形で債権を受け取ってもらうことになります等のお知らせが会社に舞い込むようになりました。その書面は受け取る企業側にとっては、電子債権で受け取ることはもはや拒否はできない世の中ではあたりまえのスキームになってしまったかのような書面となっています。電子債権への受取変更の書面には必ずといっていいほど、仲介者としてファクタリング会社の名前が出てくるようになりました。この状況はいったい何を示しているのでしょうか。

約束手形は長い間、日本の商慣行に照らし合わせて十分に金融仲介機能の役割を果たしてきたといえます。しかし時代の移り変わりと共に様々な問題が生じてきました。手形紛失による裁判手続き、手形の偽造、詐欺事件等々悩ましい事件の数々が挙げられます。いったんこのような事件に巻き込まれてしまいますと解決のために多大な労力を費やすことになるのです。

約束手形の役目は終わったわけではありませんが加速度的に一般的ではなくなってきている印象があります。ファクタリング会社は支払をする企業から債権を買い取ったうえで支払を保証するという概念で成り立っていますが、手形であればもちろん不渡りのリスクがあります。反面、ファクタリングの場合には不渡りという考え方はありません。手形と同じように期日前に金利を支払って口座に振り込んでもらうことも可能ですが、不渡りとなって買い戻すという懸念は一切ないので安心して電子債権受取への変更に応じてよいのです。